塩素とは!?編


カルキの正体

 水道水で、魚を飼う時には、カルキを中和しなくてはならない。という事は、誰でも知っている常識ですが、どうして、中和しなくては、ならないのか?、そして、中和剤を入れた水は、なぜ、魚を飼う事ができるのか?、を知っている人は、少ないと思います。今回は、そのメカニズムを紹介したいと思います。

 まず、カルキ(残留塩素)とは、塩素の事で、水中に過剰の塩素を溶かし込んだ時に、水中でできる、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン(phによって存在率が変化する。)の事をいいます。塩素は、非常に酸化力が強いので、有機物を分解する事ができます。


 
 酸化力とは、相手から電子を奪う力のことで、この奪う力を電気陰性度といい、数字でその力の強さが、定義されています。

 台所にある漂白剤には、高濃度の塩素が入っています、あの漂白剤を入れた水に、コケで汚れた二酸化炭素添加器具(パレングラスなど・・)を浸けて数時間放置しておくと、コケで汚れた二酸化炭素添加機器が、白くなる事は、皆さんご存知だと思います。コケの色は、主に、有機物です。塩素が、その有機物を分解する事によって、色が消えます。人間が赤、青、緑の色として認識している正体は、主に有機物です。その有機物の構造が壊れると、大抵、色を失うので、白くなるのです。

 塩素の殺菌作用は、酸化力によるものです。塩素が、細菌の細胞(有機物)を破壊すると考えると、塩素に殺菌作用があると言われる事に納得できるのではないでしょうか!?、塩素は、悪い細菌を分解するだけでなく、生体にいい物質とされているビタミンなども同時に、破壊したりしています。

残留塩素の魚へ影響


 塩素は、魚に悪影響を及ぼします。水中に塩素があると、魚がエラで呼吸して得た酸素を運搬する役目をしているヘモグロビンと塩素が結合してしまい、呼吸障害を起こししまいます。また、塩素は、非常に酸化力が強いので、魚の体の表面部分の粘液にダメージを与えてしまい、病原菌などに対する抵抗力が薄れてしまう事があります。

地域、水道局からの距離によって濃度は違う!

 水道局から送られる水道の水の中に含まれる塩素濃度は、季節、地域によって、その濃度は、異なります。また、塩素は、水道管の中で、消費されてしまう(有機物を分解してしまう。)ので、長い距離、水道管の中をと通ったり、水道から長時間水を流すことなく、水道管の中に貯まったままの状態にしておくと、塩素の濃度は、低くなり、殺菌の能力が薄れてきます。同じ地区だとしても、水道局からの距離によって、塩素の濃度は、変化するので、水道局は、その塩素濃度の変化も考慮して、濃度を調節して、一般家庭へと水を供給しているのです。
 
 夏場は、水が腐敗しやすくなるので、塩素濃度を高く設定して、一般家庭へ送っているようです。夏になると、水道の水が、臭い!と感じる原因は、塩素そのものの臭いのではなく、ほとんどが、塩素とアンモニアが結合した物質が匂いと感じるそうです。また、夏は、水道の蛇口に、ピンク、緑色をした物質が、つきやすい季節でもあります。あの謎な物質の正体は、細菌です。夏場は、気温、湿度も高いので、細菌が繁殖しやすい環境なので、他の季節に比べて、よく目にする方もいるのではないでしょうか!?

塩素の中和方法


 塩素を無効化する方法には、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)、コントラコロラインなどの塩素中和剤を入れるか、バケツに水道の水を汲み置きしてカルキが抜けるのを待つのが一般的な方法です。

 ハイポ、コントラコロラインなどの中和剤は、水に入れると、水溶液中にある塩素イオンとペア(ハイポの場合は、ナトリウム)を組んで、塩素自体の性質を消す事によって、塩素が、ない状態と同じ状態にしています。汲み置きしておくと塩素が、抜けるのは、塩素が飛んでいく事も一つの要因ですが、光が、塩素を分解している事、何かの物質と反応して、消費する事も塩素の効力がなくなる事の要因です。

 塩素は、光(UV(ウルトラバイオレット))をあてると、ラジカル状態となり、非常に活性な状態となって化学反応しやすい状態になる性質があります。恐らく、太陽光を当てると分解されるのは、その性質が関係しているのだと思います、正直、どんなふうに分解されるのか、分かりません(^^;、ハイポ、コントラコロラインなどを使用しないで、塩素を無効化する時は、水を太陽光にあてながらエアーレーションするのが、一番効率的な方法だと思います。

 

太陽光を当てたときの塩素の分解スピード


 水を汲み置きして、残留塩素を無効化する時には、日光が当たる場所に、水を置くと効率的な分解ができる事を、先ほど、説明しました。多くの熱帯魚雑誌、書物では、この事についてあまり触れていないような気がします。

 水を汲み置きしておくと塩素が抜けるので、カルキ抜きなどの薬品を使わなくても、汲み置きして、一晩、待てば問題ありません。などのように書かれているのを皆さんも見た事があると思います。本当に、一晩置けば、問題がないのでしょうか?

 今回は、水の汲み置きで、残留塩素の分解に、光が、密接に関係している事を証明するために、実験してみる事にしました。

 残留塩素が含まれる水の中に、オルトトルイジンを入れることによって、黄色に、呈色します。2本のボトルに、ペットボトルに水道水を入れて、オルトトルイジンを数的づつ入れました。

 ↑の画像は、呈色している時に、撮影してしまいました。少し時間が経過すると、↑のボトルの色は、もう少し濃くなります。
 右のボトルを、太陽光の当たる場所に置き、もう一方のボトルは、引出しの中に入れておきました。

 ↑の画像は、約1時間後の状態です。太陽光に当たる場所に置いたボトルは、すでに、ボトルの色がほぼ透明になっています。透明になった事は、残留塩素が分解された、事を示しています。
 約30時間後経過しました。引き出しに入れて置いたボトルは、ほとんど残留塩素が、分解されていないようです。一方、太陽光に当たる場所に置いたボトルは、完全に、残留塩素が分解されているようです。

 さて、今回の実験で、太陽光を当てる事が、とても重要な事を理解していただけたでしょうか。太陽光でなくて、蛍光灯の光でも同じような原理で、分解する事ができますが、太陽光のエネルギーに比べると、桁外れに弱いので、分解には、それなりの時間がかかりますが、当てると当てないでは、全く効率が違います

 残留塩素の汲み置きによる無効化は、太陽光、蛍光灯などの光が当たる場所に置いて、エアーレーションをする事が、最も効率がいいと思いませんか?、本によっては、太陽光に当てる事が全く描かれていない本があったり、おまけのように、書かれている本がありますが、少し違うような気がします。

 汲み置きによる残留塩素の無効化は、状況によって、無効化にかかる時間が、大きく異なるので、一概に、一晩、半日、汲み置きすれば大丈夫とは、言えません。なので、状況によって、どのぐらいの時間で、無効化されるのかを知っておく必要があります。もし、そのような事を考えるのが面倒なのであれば、瞬時に残留塩素を無効化してくれるコントラコロライン、ハイポ等を利用する事をお勧めします。

蛇口から出る水の水質の変化



 水道から出てくる水は、いつも同じ状態で出てくるとは、限りません。まず、水道から出てくる水の水質(主に、導電率)は、自分の家へ水を供給している浄水所が、利用している川(川でない地域もある。)の水に依存します。川の水が汚れれば、汚れた水が送られて、川が綺麗なら、綺麗な水が送られてきます。水換えするごとに、水道の導電率を計っていれば、送られてくる水が、毎回、違う事が確認できます。

 導電率は、水中に、どの位の物質が溶けているか?を示す数値です。数値が、高いほど、水の中に、いろいろな物質が、溶けている事を示しています、生体にとってメリットのある物質が溶けていても導電率が高くなるので、一概には、導電率が、高い水が、汚い水と決め付ける事は、できませんが、川の水の場合は、いい物が溶け込んで導電率が、上がるケースよりも、生体にとってメリットのない物質が、溶け込んで導電率が、上がると考えるほうが、正しいと思います。

 浄水場の水の供給元の川が汚れていたとしても、浄水場で、ろ過処理等をすれば、魚が住めないような水が、送られてくる事は、まずないでしょう。浄水場から、出てくる時は、生体にとって問題がない水でも、自分の家の水道から出てくるまでの間に、生体に悪影響を及ぼす物質が、混入する可能性があります。 例えば、近所で水道管工事が行われたり、貯水タンクを掃除したときなどは、生体にとって、あまりよくない物質が、蛇口から出てきてしまうことがあります。そのような時の水の導電率は、異常にな数値を示します。そのような時には、水換えは、避けたほうがいいでしょう。